海外渡航とインフルエンザに関して


◇ 何が問題となるのですか!?


 海外では、2003年度の、中国での“SARS”の発生の際、昨年度は日本国内での発生を防ぐ為、空港での赤外線による体温チェックや、中国での発熱・インフルエンザ症状の出た方の隔離政策等、パニック的な対応が非常に問題となりました。
 もちろん、“SARS”などの大流行を防ぐ為には、これらの、“隔離”は適切な対処であると考えられますが、問題は、“単なるインフルエンザ”だった場合でも、“隔離”や、“SARS(或いは新型インフルエンザ)対応病院に受診せざるを得ない状況になった場合、 逆に、“感染を受けてしまう可能性”があることが、一番に危惧される点 と思われます。


◇ どういう予防法がありますか!?

 事前の対策としては、主に3つの対策が挙げられると考えます。

1) インフルエンザワクチンの接種

 もちろん、日本で受けるインフルエンザワクチンには、そのシーズンに日本で流行が予測される、“3つのタイプ”の“無毒化されたウイルスの外殻”の入ったワクチンが用いられますので、世界統一のものではなく、その地域(各国)に合わせたものではありません。しかし、インフルエンザは基本的に粒子の形が一緒で、NとHという“トゲ”の部分の違いで形が違うだけですので、近似株という似ているウイルスに対しては効果があります。また、ワクチンを打つことで、抗体生成の励起状態という準備段階に体がなりますので、抗体を獲得し易く、その分罹患した場合にも、軽く済むことが考えられ、効果の点では、非常に有意義であると考えられます。

2) ウイルスの侵入の防止

 一番の予防はこれに尽きると思います。 ウイルスは、鼻腔、口腔、咽頭粘膜からのみ侵入、増殖をしますので、この部分にウイルスを付着させないことが何より肝要です。その為に、“うがい・手洗い・マスク”は重要です。『通常のマスクはウイルスを通してしまうので無意味である』との報道もされていますが、その様なことはないと考えます。確かにウイルス粒子は100~200nmと小さなものですが、ウイルス単独で大量に浮遊をすることはありませんので、通常の飛沫感染の場合には、呼気の水蒸気や、咳などの際の飛沫と共に浮遊をしますので、充分にマスクでトラップ(捕捉)されるものと考えます。ただし、ガーゼのマスクは目が粗いので、不織布という、“使い捨て”のものが良いでしょう。値段は安いもので充分です。 なお、流行地に赴かざるを得ない場合にはN95』という、ウイルスをほぼ完全に通さない、“医療用マスク”をお持ちになると、かなり危険を回避出来るものと考えます。

3) ウイルス増殖防止薬(抗インフルエンザウイルス剤)の適切な使用

 2004年度より、抗インフルエンザウイルス剤、“タミフル”の予防的投与が正式に認められました。☆ ただしその適応として、同居者または共同生活者がインフルエンザに罹患し、かつ御自身が、1)65歳以上で、2)慢性呼吸器或いは心臓疾患、3)糖尿病などの代謝疾患、4)腎機能障害を持つ方、にのみ、使用が認められています。“タミフル”、の作用機序としては、体に侵入したウイルスの増殖を抑えることです。特に、発熱などの症状を抑えるものではありません ので、発熱などの症状は少なくとも、感染当初は、服用の有無に関わらず、かなり辛くあらわれます。しかしその間に、身体は抗体を産生し、ウイルスを鎮圧していく為、ウイルスを少ない状態に抑えておけばおく程、ウイルスと抗体との戦いの産物として起きて来る、発熱などの症状を、短い期間で無くすことが出来ることになります。具体的には、発熱期間を45.3%ほど短くする とされています。
 現状は、発症してから、出来るだけ早期(可能であれば24時間以内)の、適切な服用開始が望まれます。渡航先の状況、その他を踏まえ、“かかりつけ医”あるいは、“産業医”との事前の相談による最も適切な対処を講じておくことが望ましいと考えます。

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